働く家
かつて足かけ5年にわたって「民家の力」と「働く家」として、特別じゃないふつうの民家の、特別じゃない一日を訪ねて歩いた。丹念な暮らしとていねいな毎日が重ねられてきたことが、家のかたちをとおして伝わってきた。そこでは、ふつうであることの非凡さ、ふつうをつないできた家の愛おしさが、粒だっていた。ところがその大切さは、とても見えにくいものなのだろう。実際に住んでいても、「この家のどこがいいのか、特別に立派でも歴史があるわけでもないのに」と、言葉にする人がいたほどである。謙遜ではない。けれど今、訪ね歩いた家いえをまとめる機会を得て、ふつうであることのかけがえのなさと、大切さは時間を経ても色あせないのだなと確認するおもいだ。
発売日:2018.01.31
ISBN978-4-8465-3162-1